栄養士を目指して、大学時代は授業、実習、実験に忙しい日々を送っていましたが、土・日を中心に始めた宅配フードサービスのアルバイトを通じて、接客や営業に関心を持つようになりました。宅配フードサービスは電話対応が中心で、限られた時間のなかでお客さまを不快な気持ちにさせず、いかに注文を多くいただくかが重要でした。お宅に配達したときにもお店の魅力を伝えるよう心掛け、常連のお客さまになっていただくにはどうしたらよいかを意識しました。その時素直に「お客さまとお話しすることは面白い」と感じました。就職先に金融機関を選んだのは、無形の商品やサービスを提供しているからこそ自分の力が試せると思ったからです。そして、信託銀行を選んだのはどこよりも商品やサービスが多彩だから。同じ資産運用・資産管理の相談を受けるにしても、信託銀行なら定期預金から投資信託、保険、不動産、相続まで提案の幅も広くなる。それはお客さまの多くのご要望にお応えでき、より親密になれるということです。
入社して半年間は支店の後方での事務を担当しました。この事務処理を通じて支店での手続きの流れや細かいルールを覚えていきます。その後、テラーとして窓口に座ることになり、意気揚々と資産運用相談を担当し始めたのですが、現実はそんなに甘いものではありませんでした。商品の説明をしてもお客さまが関心を示されないと、「説明が不十分だったかな」と自信をなくしたり、お客さまとの距離感を意識するあまり、この話題は切り出さない方がいいかなと消極的になり、提案のタイミングを失ったり…。そんなことが続くと悪循環に陥り、どんどん元気がなくなりました。3時に店が閉まった後、「今日もだめだった」と落ち込んでしまうことも少なくありませんでした。そんな状況を抜け出させてくれたのが、OJTで指導をしてくれた先輩。閉店後も、私のために時間を割いていただき、お客さまへの言葉のかけ方やタイミング、ニーズを聞いてから提案までのアプローチの仕方を特訓してもらいました。さらにうれしかったのは、勤務時間中の付箋。「必ずできるよ」とか「今日も頑張ろう」とか、気がつくと机の上に貼ってあって、この言葉にどれだけ励まされたことか。先輩から教えられた、ものの言い方やタイミングを真似るうち、お客さまの笑顔を見る機会も増えていき、一歩一歩、前向きになっていく自分がいました。
そんな新人時代を経て、いまでは私なりに自分の接客にも自信が持てるようになりました。心がけているのは、どんな時もお客さまの魅力を発見しようと努めることです。もちろんお客さまの中には最初は気難しい印象の方もいらっしゃいます。でも、お話をしているうちに、お越しいただけるお客さまは皆さん、当社に愛着を持ってくださっていることが分かります。店頭でのお客さまとのエピソードには事欠きません。例えば、当社に10年近く、ご預金のみお取引いただいていたお客さまがいらっしゃいました。毎月来店されて、まとまったお金を引き出されますが、当社とのお付き合いはその繰り返しだけで、特定の担当者もいませんでした。ある日たまたま私が受付をして、この毎月引き出されるお金の使い道を伺ったところ「旅行が好きなの!」という返事。私も同じく旅行好きなので、自分の旅の経験やどんな旅の仕方なのかを率直にお話ししたところ、話が弾み笑顔を見せてくださり、それ以来、私を訪ねて来店していただけるようになりました。その後、ご預金の一部を活用した運用の提案にも関心を持たれたり、またお客さまの口からご家族の話も出るようになり、最近では保険や相続のことも話題に上るようになりました。ある日、このお客さまのお子さまが口座を開きに来店されました。「岩崎さんのところでつくりなさい」と勧められたそうです。近隣には当社以外にも信託銀行の支店が並んでいます。そのなかで自分を指名して来店されるのだから、こんなにうれしいことはありません。












