私が出向している日本マスタートラスト信託銀行は、資産管理業務を専門的に行う信託銀行です。投資顧問会社などの、資産運用会社からの指示によって、有価証券売買を成立させるための約定処理や売買に伴う資金の決済、決済後の残高管理や権利関係の取りまとめ、お客さまに対する運用状況の報告などを行っています。それぞれの事務が複雑であり、正確性とスピードが求められます。正確性を欠けば、法律違反の場合すらあります。金融商品は、それだけ事務には重みがあるのです。今の私の仕事は、三菱UFJ信託銀行との窓口として、新しい商品や法改正の説明を受け、正しく理解し、実際に事務を企画する人に伝えていくこと。そこが当社での事務設計の流れの始まりです。金融商品には事務が不可欠。逆に言えば、事務がきちんと設計されて初めて金融商品が成り立ちます。だからこそ新しい金融商品が生まれたとき、そこに関わった喜びがあります。
以前は事務企画の担当でした。新商品開発や法改正に対応して、どのような流れで事務を行っていくか、どのようなアウトプット書類が必要か、どのようなシステムを構築するかなどを、具体的に設計していました。思い出深いのは、国内債券の決済制度改革に伴って、新たな事務の流れと新たなシステムを企画したことです。この仕事で、あるお客さまから国内債券管理に関して事務を任せていただくことになり、当社ビジネスの拡大にも貢献できたと思っています。ただ、簡単に進んだわけではありません。新たな業務を行う時に一番大切なのは、実際に事務を担う人に共感してもらうことです。業務の意義を理解してもらい、全ての人に意気に感じて仕事をしてもらうには、私の説明がカギとなりました。
このとき説明をした部署の方は約30名です。心がけたことは、一人ひとりの立場を理解して接したこと。さまざまな価値観を持つ人に対して、同じ説明は通じません。ある人には熱く思いを語り、ある人には冷静に事務フローを説明し、ある人にはその人の必要性を、ある人には仕事の意義を伝えました。企画という仕事は、人間として信頼されることが大切だということを知りました。共感してもらえる信念を持っていることが大事なことです。説明には数カ月かかりましたが、多くの人が関わることの大変さを、身を持って知った仕事でした。









