学生時代は居酒屋のホール担当や家庭教師など、何種類ものアルバイトを経験しました。また3年次にはゼミの代表としてゼミナール委員会という、ゼミ間の連絡組織に参加し、講演会やイベントの企画などに、取り組んでいました。一つのことに打ち込むのか、いろんなことを経験するのか。私の場合は後者でしたが、多くの活動を通して視野が広がり、結果的にはとてもよかったと思います。
印象に残っているのは、インターネット上のコミュニティサイトの運営を体験したこと。ある通信教育の会社のアルバイトでしたが、インターネット上の仮想の「寮」に在籍する、高校生の会員向けに大学生活に関する情報を提供しました。私はそこの「寮長」として、トップページにコラムを書いたり、掲示板で行われる議論のテーマを考えたり、ときには高校生の相談にのったり。自分自身も考えさせられることが多く、とても充実した時間でした。
就職活動については、高校生の頃から街づくりに興味があり、当初は不動産業界を志望。しかし、業界研究を進めるなかで信託銀行にも不動産業務があることや、不動産業界とは異なる信託銀行の業務の幅広さを知り、さまざまな経験をしたいと考えていた私にとっては、それがとても魅力的に感じました。入社の決め手は、先輩社員と話をしていて波長の合う人が多かったから。長く働くことを考えれば、社風に合っているかということも、とても大切なことだと思いました。
入社以来、ずっとRMです。RM(Relationship Manager)は言わば法人のお取引先に対する当社の総合窓口で、財務・経理部だけでなく、総務部や人事をはじめとするいろいろな部署を訪問し、部署ごとに異なるさまざまな課題やニーズを把握します。その課題に対して、預金や融資といった通常の銀行業務に加えて、不動産や年金、証券代行など、信託銀行ならではの豊富な商品ラインナップを駆使して、お客さまに対して最適な解決策を提供しています。
入社して最初に配属されたのは、福岡の九州法人営業部。ここでは担当者は地域別にお取引先を持ち、私は佐賀県と宮崎県を担当しました。知識も経験もない新人の頃、一番つらかった事は、お客さまにせっかく時間をつくっていただいても、十分に話せなかったことです。きちんとRMとしての役割を果たせなかった。不明な点があると、一度会社に戻って確認して、すぐにまた訪問したことが何回もありました。この悔しさをばねに、時間を見つけては、事務の流れを理解することはいうまでもなく、自社のさまざまな商品や企業経営や財務・経理に関する専門知識などを自主的に勉強するようになりました。
当社の法人営業は常に「どんなことでも積極的にお取引先の相談に応じ、経営のパートナーとしてお役に立とう」という前向きな姿勢が基本です。そのことがお客さまとの絆を強くするからです。入社2年目に担当していたあるホームセンターのお取引先から、新たに出店する店舗にファーストフードかカフェを誘致したいという相談を受けました。東京の営業部のRMを通して数社に声をかけてもらいましたが、すべて「ホームセンターには出したくない」という返事。しかし、粘り強くお願いしたことが功を奏し、あるハンバーガーショップが建設中の店を見てくれることになりました。私も視察に同行しましたが、そのハンバーガーショップの役員からは「こんなにきれいで大きな店なら、ぜひ出店したい。直営店を出しましょう」というお言葉が。このことだけで当社の収益に直接結びつくものではありませんが、地元でのその新店舗の評価が高まり、社長にも大変喜んでいただいた結果、お取引先との絆も深まりました。橋渡しをした私にとって忘れられない仕事になりました。
入社4年目から、本店の法人営業の部署に異動しました。本店ではエリア別ではなく、業種別にお取引先を担当します。私は現在、不動産や建設、鉄道などの業界を担当するグループで、不動産業界を中心に約30社を担当しています。
いま、不動産業界では、都心を中心に超高層ビルやマンションを建てる再開発事業が進んでいて、その多くは「プロジェクト・ファイナンス」という形態で資金調達が行われています。その金額は数百億円の単位になりますが、企業の信用力を判断して行う通常の融資とは異なり、その事業の収益性を判断して融資をする「プロジェクト・ファイナンス」は、事業がうまくいかなかった場合には、その事業に関連する資産以外は担保にとらないノンリコースローン。そのため、融資の実行にあたっては、その事業の収益性に関する綿密な調査が必要となります。予測している売却益は現実的な水準か、テナント部分の立地や賃料に競争優位性はあるか、近隣に類似物件ができて競合する可能性はないか、建設途中で工事が中断するリスクはないか…。不動産に関する価値算定基準やリスクの考え方は複雑です。RMとして、事業を精緻に分析していくことはもちろん、ときにはプロジェクトメンバーとして、より資産価値の高い物件にしていくためのアイディアを求められることも少なくないため、以前から興味があったとはいえ、専門知識や最新の不動産動向に対する勉強は欠かせません。












